障害等級認定の迅速化へ。診断書詳細化と事務負担軽減を議論

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「医療政策ウォッチャー」の歩き方(Podcast・Web・メンバーシップ)|木内 翔太 / Shota KIUCHI
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厚生労働省は令和7年12月18日、労働基準局において第1回「障害(補償)等給付に係る診断書様式等に関する検討会」を開催しました。 この検討会は、労災保険の障害等級認定をより正確かつ迅速に行うため、医師が作成する診断書の様式を抜本的に見直すことを目的としています。 労災保険制度における障害(補償)等給付は、仕事や通勤が原因で負傷したり病気になったりした労働者が、治療後も身体に障害が残った場合に支給されるものです。 現状の診断書様式には部位ごとの詳細な記載欄がなく、労働基準監督署の職員が主治医へ追加の意見聴取を行うなど、事務処理に時間を要する課題が浮き彫りとなっていました。 本検討会では、各診療科の医学専門家が参集し、現場の負担を軽減しながら的確な認定を行うための具体的な改善策が協議されています。

今回の会議における主要な論点、合意事項、および今後の検討方向は以下の5点に集約されます。

1.診断書様式の抜本的な刷新と記載項目の細分化 現行の様式では不足している部位ごとの検査結果や残存障害の詳細を記載する欄を、見直し案として具体的に提示しました。 政策的な含意:診断書の項目を医学的に詳細化することで、初期段階での情報収集が完結し、認定の不確実性が大幅に減少します。

2.労災認定事務の迅速化による被災者支援の強化 記載漏れや照会事務を削減することで、請求から支給決定までの期間を短縮し、迅速な労災認定事務の実施を目指します。 政策的な含意:給付決定までの待機時間が短縮されることで、被災労働者の経済的な不安が早期に解消されることにつながります。

3.主治医および被災労働者の事務的・心理的負担の軽減 主治医への電話聴取や被災労働者への面談調査など、これまで発生していた追加の調査工程を最小限に抑えます。 政策的な含意:医療現場と行政の連携コストが抑制され、双方が本来注力すべき業務にリソースを割けるようになります。

4.多診療科の専門医による多角的な認定基準の検討 精神科、口腔外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科、呼吸器内科といった幅広い分野の専門家が参集し、医学的見地から様式を検証します。 政策的な含意:各診療科の最新の知見が診断書に反映されることで、あらゆる部位の障害に対してより公平かつ客観的な等級判定が保証されます。

5.物価高騰等を踏まえた診断書・意見書料の適正化 昨今の労務費や資材の高騰を考慮し、主治医等に支払われる診断書作成料などの金額を見直す方向で検討を進めます。 政策的な含意:適切な報酬設定が医師の積極的な協力を促し、診断書の質の向上と迅速な提出を後押しする土壌が整います。

労災保険給付の現状を確認すると、令和6年度の障害(補償)等給付の支給決定件数は19,968件に上ります。 過去3年間の推移を見ても、毎年2万件前後で安定的に推移しており、認定業務の効率化は喫緊の課題となっています。 等級別では、第14級が6,099件と最も多く、次いで第12級が4,971件、第10級が2,422件という順になっています。 部位別では「神経系統の機能又は精神の障害」が6,296件と最多で、全体の約3割を占めています。 特にこの分野の第14級認定は4,269件と非常に多く、障害全体の2割を占めているのが現状です。 これに次いで多いのが「上肢の障害」の4,748件、そして「下肢の障害」の1,898件となっています。 このように膨大な数の請求を適切に処理するためには、主治医が作成する最初の診断書の精度が決定的な鍵を握ります。

検討会で示された診断書様式の見直し案は、非常に詳細な構成となっています。 例えば「神経系統の機能又は精神の障害」の欄では、高次脳機能障害、身体性機能障害、非器質性の精神障害の有無を明確に区分してチェックする形式が提案されました。 受傷部位に生じた疼痛についても、常時疼痛があるのか、あるいは通常の労務に支障を来すほどの強度なものかを具体的に記入するよう求めています。 眼の障害については、視力や調節機能、運動障害に加え、視野障害をゴールドマン型視野計などの検査結果に基づいて詳細に記載する形式となっています。 耳の障害では、平均純音聴力レベルや最高明瞭度の数値を3回分の検査日とともに記入する欄が設けられました。 鼻の障害においては、鼻軟骨部の欠損状況や、嗅覚脱失、減退などの機能障害を明確に区分しています。 口の障害についても、そしゃく機能や言語機能の障害度合いを、摂取可能な食物の形態や発音不能な語音の種類から判定する仕組みです。 さらに、歯科補てつを加えた歯の数については、今回の事故によるものか既存のものかを区別して記入するよう配慮されています。 醜状障害についても、頭部、顔面部、頸部などの部位ごとに有無を確認し、大きさや形態を図示するスペースが確保されました。 せき柱の障害では、圧迫骨折や固定術の有無、運動障害の可動域角度を細かく記入します。 四肢の障害については、欠損、短縮、偽関節、関節機能障害の各項目を網羅し、関節角度測定表と連動させる設計となっています。

現行の運用では、請求書に添付された診断書の記載内容だけでは不十分な場合、監督署が改めて主治医に検査データや意見を求めなければなりませんでした。 また、請求人を監督署に呼び出し、職員や委嘱医が可動域を測定するなどの面談調査を行う手間も発生しています。 見直し案の通りに診断書が充実すれば、こうした事後のやり取りが大幅に整理されます。 事務処理の遅延は被災労働者の生活再建を遅らせる要因となるため、今回の改革には大きな期待が寄せられています。

本検討会は原則として公開で行われ、医学的な専門的見地からさらなる議論が深められる予定です。 厚生労働省労働基準局補償課が庶務を担当し、令和7年度以降の新しい運用に向けて細部を詰めていく方針です。 労災保険制度が、被災した労働者にとってより使いやすく、信頼できるセーフティーネットとして機能し続けるための重要な一歩となるでしょう。 今後の議論の進展により、医療機関への周知やシステム改修など、実務面での具体的な準備も加速していく見通しです。 被災労働者が適正な補償を迅速に受けられる体制の構築に向け、検討会の動向が注目されます。

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本記事は生成AI(NotebookLM)を使用して執筆しております。

 

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