令和7年7月歯科医療費動向を公表、全体伸び率2.6％

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厚生労働省はこのほど、令和7年度7月分の歯科医療費（電算処理分）の動向をまとめ、公表しました。

総医療費の伸び率は、前年同月比でプラス2.6％となりました。受診延日数の伸び率はマイナス0.7％と減少傾向を示しています。一方で、1日当たりの医療費の伸び率はプラス3.3％と増加しています。この結果は、受診する日数は減っているものの、一回当たりの診療単価が上昇していることを示しています。

公表された統計データに基づき、歯科医療の主要な動向とその政策的な含意を報告します。

引用

歯科医療費の主要な動向と政策的含意
詳細データに見る医療費の動向

歯科医療費の主要な動向と政策的含意

全体の医療費は単価上昇が牽引
- 令和7年7月の歯科医療費伸び率はプラス2.6％となり、受診日数の減少（マイナス0.7％）に対し、1日当たり医療費がプラス3.3％と伸びを牽引しました。
- 政策的な含意：高額な技術や材料の導入が進む中で、医療費の総額抑制に向けた費用の適正化が今後の課題となります。
後期高齢者医療制度の伸びが突出
- 制度別では、**後期高齢者医療制度がプラス4.6％**と最も高い伸び率を示しました。一方、国民健康保険はマイナス2.5％と減少しています。
- 政策的な含意：超高齢者層の口腔衛生・機能維持への需要が高まっており、この世代への歯科保健医療サービスの重点的な提供と財源の持続可能性が検討される見込みです。
超高齢層の医療費が急増
- 年齢階級別では、**100歳以上がプラス11.6％**と顕著な伸びを記録しました。また、75歳以上80歳未満もプラス7.1％の伸びです。
- 政策的な含意：高齢者のQOL（生活の質）維持のための口腔ケアの重要性が増しており、多職種連携による在宅や施設での歯科医療提供体制の構築が加速すると予想されます。
歯周病治療が進展、補綴治療は抑制傾向
- 歯科疾病分類別では、歯肉炎がプラス4.6％、歯周炎等が**プラス2.7％**と伸びました。一方で、補綴関係（歯の補綴）や根尖性歯周炎(歯根膜炎)等は、いずれもマイナス2.2％でした。
- 政策的な含意：う蝕（プラス1.2％）や歯周病の予防・管理を重視する流れが強まっており、今後の診療報酬改定で予防管理型の点数配分がさらに強化される可能性があります。
医学管理費と歯科用貴金属が高騰
- 診療内容別では、医学管理がプラス5.8％、検査・病理診断がプラス4.7％と伸びています。また、歯科鋳造用金銀パラジウム合金（金12%以上JIS適合品）が**プラス13.1％**と、歯科用貴金属の価格が高騰しています。
- 政策的な含意：長期的な口腔管理や検査の重要性が高まる一方で、高騰する材料費への対応として、保険診療における貴金属以外の代替材料の導入や評価体系の見直しが急がれるでしょう。

詳細データに見る医療費の動向

制度別・年齢階級別の動向

令和7年度7月分の制度別医療費の伸びは、後期高齢者医療制度がプラス4.6％、被用者保険がプラス3.7％でした。被用者保険の内訳をみると、協会一般でプラス4.0％、共済組合でプラス4.0％、組合健保でプラス3.3％の伸びが見られます。特に被用者保険のうち、協会一般の本人の伸びはプラス5.4％と高い水準です。一方で、国民健康保険はマイナス2.5％と、制度全体で医療費が減少しました。

年齢階級別では、超高齢者層の伸びが著しく、100歳以上がプラス11.6％、95歳以上100歳未満がプラス11.3％、90歳以上95歳未満がプラス9.3％となりました。若年層では、10歳以上15歳未満がプラス4.9％、**15歳以上20歳未満がプラス8.6％**と、高い伸びを示しています。対照的に、70歳以上75歳未満はマイナス4.0％と最も小さくなりました。

医療機関種類別、疾病分類別の動向

医療機関の種類別では、歯科病院がプラス6.8％と、歯科診療所のプラス2.2％を大きく上回りました。歯科病院の中でも、公的病院はプラス8.4％、大学病院はプラス7.6％と高い伸びです。

歯科疾病分類別では、医療費の割合が前年度に高かった疾病について分析されました。歯周炎等は全体の70.8％を占め、プラス2.7％の伸びでした。歯肉炎はプラス4.6％、う蝕はプラス1.2％です。顎、口腔の先天奇形及び発育障害はプラス5.5％でした。一方、補綴関係（歯の補綴）はマイナス2.2％、根尖性歯周炎(歯根膜炎)等もマイナス2.2％と減少しました。

診療内容別と材料費の高騰

診療内容別では、**医学管理がプラス5.8％**と最も高い伸び率を記録しました。次いで検査・病理診断がプラス4.7％、処置がプラス3.8％となりました。特に注目されるのは、初診の医療費伸び率がマイナス2.7％となったことです。歯冠修復及び欠損補綴は、わずかにプラス0.2％の伸びに留まりました。

歯科用貴金属の医療費では、歯科鋳造用金銀パラジウム合金（金12%以上JIS適合品）が全体の98.1％を占めています。この主要な貴金属の伸び率は**プラス13.1％**と大幅に増加しました。また、歯科鋳造用銀合金第2種（銀60%以上インジウム5%以上JIS適合品）は、プラス14.0％とさらに高い伸びを示しています。