【要約】第40回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会

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本会議（第40回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会）は、インフレ基調下での医薬品流通コストの上昇と、医薬品の安定供給を確保するための取引慣行の見直し、特に医療上重要な医薬品の取り扱いについて集中的に議論しました。

以下に、主要な論点、合意事項、今後の検討方向を5つに整理し、それぞれの政策的な含意を説明します。

医療用医薬品の流通改善に関する懇談会（第40回）資料

主要な論点・合意事項・今後の検討方向と政策的な含意

No.	主要な論点・合意事項・今後の検討方向	専門用語の補足	政策的な含意（何が動きそうか／何が変わりそうか）
1	流通コストの上昇と「逆ザヤ」取引の深刻化が確認され、ガイドライン改訂を通じて流通コスト（卸の仕入原価と販売経費）を考慮した適正な取引環境を整備する。	逆ザヤ：卸売業者にとって、仕入れ値や流通コストを考慮すると薬価（公定価格）に見合わず、赤字となる取引が増えている状況。	医薬品メーカーは、卸売業者の流通に必要な費用を意識し、それを価格設定に反映することが、流通改善ガイドラインで明確に義務付けられるようになる。
2	流通改善ガイドラインにおいて、メーカーの仕切価（メーカーから卸への販売価格）設定時に「流通コスト」という表現を明記すること、および価格設定に必要な情報の情報共有体制を構築する。	仕切価：メーカーが卸売業者に提示する、割戻し（リベート）などを除いた基本的な販売価格。	メーカーと卸売業者の間で、流通コスト負担の根拠と妥当性に関する情報共有が促され、価格設定の透明性が高まる。
3	医療上特に重要度の高い医薬品（別枠品）について、法改正後の「重要供給確保医薬品A群」を新たな「別枠品」（過度な価格競争を避ける対象）とし、薬価基準に収載されているワクチンも別枠品として取り扱う方向で検討を進める。	別枠品：安定供給確保のため、他の医薬品と分けて、交渉の段階から個々の価値に基づく単品単価交渉を基本とすべき医薬品。	医療上特に重要度の高い医薬品（例：特定な感染症ワクチンや重篤疾患治療薬）は、過度な値引き競争から保護され、安定供給が優先される取引枠組みが強化される。
4	不採算品再算定（低薬価で不採算になった品目の薬価を改定する制度）の適用を受けた品目について、適用後2年を経過した後も、新薬創出等加算品と同様に、引き続き単品単価交渉（品目ごとの価格交渉）を求める。	単品単価交渉：個々の医薬品の価値や流通コストを踏まえて、品目ごとに価格を決める交渉。	不採算品として価格が是正された品目について、その後も価格が過度に下落し安定供給に支障をきたすことを防ぐため、単品単価交渉による取引が恒常的に求められる。
5	未妥結減算制度（価格交渉が成立しない期間が長いと診療報酬が減額される制度）の趣旨を踏まえ、原則として当年度内の妥結価格の変更を避けるとともに、在庫調整を目的とした返品を厳に慎むよう求める。	未妥結減算制度：医薬品の価格交渉の長期化を防ぐため、保険制度で設けられた仕組み。	薬局や病院と卸売業者との間で、一度決まった契約価格の安定性が向上し、在庫管理や発注計画の厳格化がより強く求められる。

この議論の全体像は、医薬品の安定供給と流通の公平性を確保するために、これまで曖昧だった流通コストを可視化し、特に重要度の高い医薬品を保護する仕組みを強化する動き、例えるなら、サプライチェーンの耐久性を高めるための「防護壁」を築く作業に似ています。価格競争の激化によって利益を確保できず、結果として医薬品が市場から消えるリスクを防ぐための措置です。