【治療と就業の両立】「指針」は法律の傘下に。産業医・主治医の意見はどこまで有効か、厚労省検討会が責任の所在を明確に。

医療政策ウォッチャー

2025.11.22

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引用

第２回治療と仕事の両立支援指針作成検討会議事録

本会議（第2回治療と仕事の両立支援指針作成検討会）は、治療と就業の両立支援を促進するための「指針」案の作成について議論しました。これは、これまで局長通達等（パンフレットのようなもの）で示されてきた両立支援策を、労働施策総合推進法に基づく法律上の「指針」として格上げするための具体的な文言調整を行うものでした。

以下に、会議の主要な論点、合意事項、今後の検討方向を5つに整理し、「政策的な含意」を一文で説明します。

No.	主要な論点・合意事項・今後の検討方向	政策的な含意（何が動きそうか／何が変わりそうか）
1	指針の法的地位の明確化と用語の統一	これまでガイドラインとして扱われてきた両立支援策が、今後は労働施策総合推進法に基づく法律上の「指針」として位置付けられ、企業の取り組みの法的根拠が強化されます。
2	就業判断における事業主責任の明確化	職場復帰や就業継続の最終決定権限は事業主（会社）にあることが明確化され、主治医や産業医（職場の健康管理に関わる医師）の意見はその判断の参考情報として活用される体制が整備されます。
3	長期にわたる疾患や再発ケースへの詳細な対応	がんや難病（難治性疾患）など、長期的な配慮や経過観察が必要なケース（特殊な場合ではない）について、疾病ごとの具体的な留意事項が通達として整備され、より現場の実情に即した詳細な支援が可能になります。
4	ゲノム情報（遺伝情報）に基づく差別防止の検討	ゲノム情報に関する差別禁止事項の明文化については、がんや難病などの疾病別留意事項（通達）に盛り込む方向で検討され、情報管理のルールが明確化されることで労働者の不安軽減につながります。
5	小規模事業場（労働者数50人未満の事業場）への普及と支援策	指針の施行通達や周知活動を通じて、小規模事業場が産業保健総合支援センターや社会保険労務士（社労士）などの外部リソースを効果的に活用できる具体的な道筋が示され、両立支援の裾野が広がります。