【要約】第3回伝統・補完・統合医療世界会議（WHO）

WHOの第3回伝統・補完・統合医療（TCIM：Traditional, Complementary and Integrative Medicine）世界会議（2025年10月、リオデジャネイロ開催）は、WHOグローバル伝統医学戦略 2025–2034が採択された直後に開催され、グローバルヘルスを強化するためのTCIMの役割と、今後の具体的な行動計画に焦点が当てられました。

以下に、この会議の主要な論点・今後の検討方向を5つに整理し、それぞれに対する政策的な含意を説明します。

引用

404

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No.	主要な論点・合意事項・今後の検討方向	政策的な含意（何が動きそうか／何が変わりそうか）
1	WHOグローバル伝統医学戦略 2025–2034の実施	各加盟国は、今後10年間で伝統医学（TCIM）の推進と制度化に向けた国家レベルの指標と計画を策定・実施することになる。
2	エビデンス（科学的証拠）基盤の強化	現状で全地球的公衆衛生研究資金の約1%しか配分されていないTCIM分野に対し、その安全性と有効性を裏付けるための研究投資が増加する可能性がある。
3	品質と安全性を保証するための規制整備	TCIMの実施や提供者、製品を監視・規制する仕組み（制度や法規）を欠いている加盟国では、国民の健康と信頼を守るための規制強化が必須となる。
4	医療システムへのTCIMの統合促進	国民の多く（推定40～90%）が非感染性疾患の管理などのためにTCIMを利用している実態に基づき、医療の公平性を高めるため、公的な医療提供体制内でのTCIMの役割定義と組み込みが進む。
5	包括的な知識リポジトリ（貯蔵庫）の構築	TCIMに関する150万件以上の記録を統合する「WHO伝統医学グローバルライブラリ」の登場により、政策立案者や医療従事者はエビデンスに基づいた意思決定を容易に行えるようになる。

補足説明

TCIM（伝統・補完・統合医療）: 伝統医学（例：中国医学、アーユルヴェーダなど）と、補完医療（例：カイロプラクティック、アロマセラピーなど）、そしてそれらを現代医療と組み合わせる統合医療の総称です。
WHOグローバル伝統医学センター（GTMC）: 古代の知恵と現代科学を結びつけ、研究、イノベーション、標準、データ化を推進するWHOの機関です。
非感染性疾患 (NCDs): 感染症ではない疾患（例：心臓病、糖尿病、がんなど）を指します。加盟国の76%が、人々がTCIMを求める主な理由としてNCDsの管理を挙げました。

会議の背景にある課題

多くの国でTCIMが人口の40〜90%に使用されているにもかかわらず、研究データが限られている点、資金支援が不足している点、そしてTCIMの実施、提供者、製品を規制・監視する仕組みがない点が、グローバルヘルスを支援する上での大きな課題として挙げられました。新しい戦略とツールは、これらの課題に対処するために設計されています。

また、この会議に続き、2025年12月17日〜19日にはニューデリーで第2回WHO伝統医学グローバルサミットが開催される予定であり、そこでは新たな公約、製品、イノベーションが発表される見込みです。

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