【速報】日本の医療団体、気候変動への認識は9割超も「知識と行動」に深い溝：行政に求める対策とは？

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「日本の保健医療分野の団体における気候変動と健康に関する認識・知識・行動・見解：横断調査」（日本医療政策機構）は、日本の医療・薬学系学術団体、職能団体、およびヘルスケア分野の業界団体における、気候変動と健康問題に対する現状の認識、知識、具体的な取り組み、および政策に関する見解について論じています。

引用

【調査報告】日本の保健医療分野の団体における気候変動と健康に関する認識・知識・行動・見解：横断調査（2025年11月13日） | 日本医療政策機構

日本医療政策機構は、2025年11月に開催予定の気候変動枠組条約第30回締約国会議（COP30）を前に、日本の保健医療分野の学術団体、職能団体、産業団体を対象として、気候変動と健康に関する認識、知識、……

この調査は、気候変動が21世紀最大の公衆衛生上の課題であり、日本の保健医療システムにも深刻な脅威をもたらしているという背景のもと、組織レベルでの現状を把握するために実施されました。

以下の整理は、同調査に基づき、専門外でも理解できるよう主要な論点、現状の課題、および今後の検討方向を5つにまとめたものです。

No.	主要な論点・合意事項・今後の検討方向	政策的な含意（何が動きそうか／何が変わりそうか）
1	高い認識と具体的な行動の深刻な乖離
	ほぼ全ての団体が気候変動の発生とその健康影響を肯定的に認識している（コンセンサス）。しかし、具体的な対応策（行動計画やガイドライン）を「策定・公表・準備が未」とする学術団体が9割以上に上り、問題意識と実践の間には大きなギャップがあることが明らかになった。	強い認識を持つ団体を行動に動員するため、国や行政による具体的な行動計画の策定を促すインセンティブ（優遇策）や、一定の対策実施の義務化が検討され始める可能性がある。
2	緩和策・適応策に関する知識の不足
	熱中症対策などの健康影響への対策（適応策）について、学術団体も産業団体も約6割が「十分な知識を有しない」と回答しており、特に医療分野からの温室効果ガス（GHG：地球温暖化の原因となるガス）排出削減を目指す緩和策に関する知識レベルはさらに低い。	医療現場での対策を実践可能にするため、国は緩和策と適応策の実用的な情報（ベストプラクティス）の体系的な共有や、医療従事者への専門人材育成プログラムを強化する可能性が高い。
3	保健医療分野の排出ガス寄与度認識の差
	保健医療分野に起因するGHG排出量が気候変動に寄与する程度について、産業団体（ヘルスケア業界）の2/3が寄与を肯定的に認識しているのに対し、学術団体では半数以下に留まり、業界と学術の間で認識に差が見られた。	医療現場の意識改革を促すため、学会や職能団体に対し、医療活動や運営に伴う環境負荷に関する正確な情報開示や啓発活動の強化、またその活動の役割を支援する措置が求められる動きが強まる可能性がある。
4	対策推進のための経済的支援の強い要望
	多くの団体が、対策推進の課題として不十分な体制や予算不足を挙げており、行政に対しては、CO2排出量削減インセンティブや設備投資支援に加え、診療報酬（医療サービス対価）の割当といった経済的支援が強く求められている。	医療機関や薬局が対策に踏み切れるよう、環境配慮型の経営努力や設備投資を評価する診療報酬上の加算や、国の補助金制度の具体的な設計が加速する可能性がある。
5	イノベーションを通じた医療システムのグリーン化への期待
	産業界に対しては、ディスポーザブル製品（使い捨て製品）の代替技術や低カーボン資材（CO2排出量が少ない材料）の安価な提供、資源循環の促進など、医療システムのグリーン化（環境負荷低減）に向けたイノベーションが求められている。	環境負荷の低い医療資材や機器の開発・導入に対する規制緩和や公的支援が強化され、病院や薬局が調達において環境負荷の少ない製品を優先する「グリーン調達」の基準整備が進む可能性がある。