雨の日の便箋 #019

雨の日の便箋

 先日、祖父の27回忌の法事があり帰省した。祖父は私が小学2年生のときに亡くなった。一緒に住んだこの7年間の思い出はいくつもある。私はよく中耳炎になり、祖父に軽トラで隣の町の耳鼻科へ連れて行ってもらった。帰りは普段行かないスーパーに寄り道した。車で一緒に出掛けると、通り道でなくても必ず通るスポットがあった。それは、小さな白い犬の置物が番犬をしている、よその家の前だった。祖父との会話は覚えていないが、私が喜ぶと思い、毎回通ってくれるのを知っていた。

 祖父は優しかった。食後、みかんを床に落とした私を叱ろうとした母に、まあまあ、と言い、植木鉢用の薄い緑色の受け皿をゆっくりと持ってきて、落ちたみかんを入れ、庭の井戸の縁に置いた。少しするとスズメがやってきて、なんと彼らの食事になった。

 祖父と過ごした期間よりも、祖父のいない時間を約4倍生きている。先日の法事をきっかけに、祖父との思い出を呼び起こせてよかった。

てくてく通信 2025年8月6日号掲載

筆者 

名前:ゆうこりん
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