未だに理由は分からないが、動物がとてつもなく怖い。小学校の頃のニワトリ小屋の掃除当番は、卵がもらえるので楽しみにする人が多い中、私は極力回避したかった。ニワトリは、噛む。つつくのと同時に噛んでくるのだ。そして、少し飛ぶ。いくら怖くても、順番は平等に回ってくる。半泣きで得た卵は美味しかった。
小3の頃、コーギー犬を飼う友人宅へ招かれた。玄関から廊下を通り、ドアからそっとリビングを覗くと、犬はソファで寛いでいた。私の姿を気づかせないようにと、友人の計らいでソーラン節の衣装を犬の頭から被せてくれた。その隙に友人の部屋まで走ろうとした。しかし和服の造りの脇部分から頭を出した犬と、目が合ってしまったのだ。その瞬間から追いかけられ、全力で走った私は見事にこけた。その後の記憶がない。今でもコーギー犬を見ると、ソーラン節の衣装に覆われた、あの恐ろしい生き物の姿を思い出し、怯える。
てくてく通信 2025年6月25日号掲載

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