雨の日の便箋

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雨の日の便箋 #015

傷に目を向けてみる。傷を負うと、痛い。原因が外部からであっても、自己であっても、傷が浅くても、深くても、身体は治癒に向かっていく。いつ治るかわからない傷は、暗く長いトンネルにいるようで、先の小さな光さえ見えず、果てしなく感じる。 傷と共に過...
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雨の日の便箋 #014

以前よりアピールさせていただいている通り、私は動物全般が恐怖寄りで怖い。しかしそんな私が、なんと野鳥に興味を持つようになった。親友の旦那さんが無類の鳥好きで、去年の夏、私たちの住む田舎に来られた際に、この地域には野鳥の数が多いことを教えても...
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雨の日の便箋 #013

動物が好きな人になってみて、無条件で悪い人ではないと認定されたい人生だった。私は動物が怖い。そんな私は、サバンナの弱肉強食社会の映像は興味深く見ることができる。もう滅茶苦茶だ。なぜだろう。リアルであり、それなのにどこか非現実のように思えるか...
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雨の日の便箋 #012

「いい気味だと思ってるんでしょう?」雨の日の夕方、飼い主の傘に入れてもらえずに、ずぶ濡れで無邪気に散歩する犬を指して友人が私に言った。 私は動物が極度に怖く、道端で動物がいたら失礼なくらい距離をとる。映像でも怖い。ペットフードならまだ構えら...
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雨の日の便箋 #010

「〇〇な気がします。」「〇〇かもしれません。」私は言葉を断定することが苦手である。特に、相手の間違いに気づいたとき、それを伝えるまでに、用意した言葉を頭の中で何度もシミュレーションしてしまう。こちらが緊張感を出してしまえば、そのミスが重大で...
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雨の日の便箋 #011

未だに理由は分からないが、動物がとてつもなく怖い。小学校の頃のニワトリ小屋の掃除当番は、卵がもらえるので楽しみにする人が多い中、私は極力回避したかった。ニワトリは、噛む。つつくのと同時に噛んでくるのだ。そして、少し飛ぶ。いくら怖くても、順番...
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雨の日の便箋 #009

私には、2歳下の弟がいる。年下だと思ったことが1度もない。小さい頃、よく2人で遊んだ。家族からは歳の違う双子と言われるほどだった。2人にしかわからない言葉を作ったりした。今も弟は覚えているのだろうか。 昔から、知らないことや私には難しいこと...
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雨の日の便箋 #008

姉は、お手本のように「姉」である。2歳上の姉は、私が生まれる前から、もうすぐ〇〇ちゃんが生まれてきます!と周囲に紹介してくれていたそうだ。私が生まれてからは、2歳ながら私のお世話をしてくれた。無垢な責任感が可愛い。子供の頃の写真を見返すと、...
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雨の日の便箋 #007

優しさとは、心から生まれる想像力が成し得るのと同時に、受け取った側が感じるものであると思う。気持ちに寄り添うこと、望むことを先回りしてすること、相手に恥をかかせないことなど。有難いことに、私は数えきれない優しさに出会って生きてきた。自分が見...
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雨の日の便箋 #006

玄関を開けた瞬間、動物が家の中に入ってきたらどうしよう。私には、起こらないことを想像して不安になってしまう癖がある。大抵の場合、人から鼻で笑われる。学生の頃、息が止まってしまったら、と考えると朝まで眠れなかった。担任に話すと、そんな訳あるか...