傷に目を向けてみる。傷を負うと、痛い。原因が外部からであっても、自己であっても、傷が浅くても、深くても、身体は治癒に向かっていく。いつ治るかわからない傷は、暗く長いトンネルにいるようで、先の小さな光さえ見えず、果てしなく感じる。
傷と共に過ごしてみる。醜く思えてしまう時もある。人からはどう見えているのかが気になって、治りが遅くなることも、新しい傷が生まれることもある。
傷の行方は気まぐれ。傷のことを忘れた頃に、治っている。跡形も無くなる場合もあれば、傷跡が残ることもある。
傷跡にありがとうと言ってみる。傷跡の道のりを知っているのは私だけ。例え誰かに何を言われても、これは私にとっては勲章だと胸を張れる自分でいたい。
傷跡ごと愛してみる。ほんの一部の過去ではあるが、全てであったときもある。一緒に生きた傷跡ごと自分を愛してみることができたら、あの頃の私を抱きしめることができる。
てくてく通信 2025年6月25日号掲載

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