#3 _副部長のひとりごと_一人散歩のススメ

副部長のひとりごと

 こんにちは。てくてく放送部の副部長です。今日はひとりごとを書いてみます。大好きだった一人散歩について振り返ってみます。

 私は関西出身で、コロナ流行前夜である2019年の冬に関東に引越してきました。親元で9回、独り立ちしてから9回。私にとって人生で18回目の引越しでした。もはや生活の景色が変わることに抵抗はなく、むしろ「私はいつまでここにいるだろう?」「次はどこに行くのだろう?」と自分のノマドさに酔いしれて楽しむようになっていました。私の人生をそのうち過ぎ去って行く街と、そこで生活する人々を、観光気分で観察しながら散歩することが大好きでした。

 関東に来て初めて住んだ街は恵比寿でした。東口と西口でずいぶん景色が違うけれど、どちらも散歩し尽くした大好きな場所です。

 渋谷へと続く西口には、マッチングアプリの待ち合わせと思われる人がたくさん佇んでいます。飲食店、飲み屋、コンビニが多く、渋谷や原宿よりは落ち着いて過ごしたいけれど基本的にはワイワイ楽しみたい人達が行き交っている様子です。
 西口の一人散歩では、夜は人々の会話に耳を澄ませてみたり、朝は道端のゴミに感傷を抱いてみたりして、「祭り」と「祭りのあと」のそれぞれの情緒を楽しむことができます。渋谷や原宿でそれをすると規模が大きくて疲れてしまうので、恵比寿駅西口で十分なのです。

 恵比寿ガーデンプレイスのある東口は、地元の人や通勤している人、ガーデンプレイスの情緒ある建物をバックに写真を撮りたい人、イルミネーションを手を繋いで眺めたいカップルなどが多いです。地元の人はだいたい高級ブランド服を着たワンちゃんを連れています。
 東口の一人散歩では、ガーデンプレイスのジャズレストランの音漏れが聞こえてくるベンチで白湯を飲んだり、高級住宅街を地元の人の気分で歩いてみたりして、自分のお財布の貧しさと、それでもこうして街を楽しむことができる心の豊かさとに酔いしれていました。宝石を手に取って胸元に付けなくても、それを眺めて心がときめくだけで満たされていたのです。今もきっとそうです。でも、将来はピカピカのマテリアルガールになっているかもしれません。それはそれで楽しみだったりします。笑

(恵比寿で出会ったピンク色の花と125M表記。)

 名古屋に住んでいた時期もあります。名古屋は都市の便利さもありながら、都市部からそう遠くない場所で静かに暮らすこともできて、とても好きな街でした。

 私は名古屋市熱田区の日比野駅すぐのアパートに住んでいました。その頃の一人散歩では、熱田神宮へ行って七五三やお宮参りの家族を眺めてほっこりしたり、イオンモール熱田へ行って中高生のデートを観察したり、元気な時は名古屋港まで歩き、道中に港区役所へ立ち寄って掲示物を眺めたりしていました。
 あまり時間がない時は日比野駅周辺をぐるっと歩きました。住宅、倉庫、ホール、飲食店、雑居ビル。人々の仕事と生活が息づいていながら、不思議なほどに静かな街でした。空が高くて広かった気がします。思い出補正かもしれませんが。

(熱田区で出会った黄色い花。周りは蕾ばかりの中、一人開花していました。)

 他にもたくさん、一人散歩の思い出の地があります。私にとって一人散歩とは、人生という自由で孤独な旅そのものであったと思います。全ての景色は過ぎ去っていき、だからこそ胸に熱く残るものでした。これからも、思い出を辿って書き起こしていきたいなと思います。よろしければお付き合いくださいませ。
 てくてく放送部ではポッドキャスト、インスタグラム、ツイッターもやっていますので是非そちらも覗いてみてくださいませ。ほとんど部長が更新していますが、わたくし副部長がお目にかかる際は、お散歩の感想だけでなく、部長のインテリジェンスに隠された不思議ちゃんっぷりもお伝えできればいいなと密かに思っています。笑

【あとがき】
 現在、また引越しの作業をしています。私の人生の「部長と一緒に暮らそう!」編が始まります。とても新鮮で、とても楽しみです。今の私にとっての一人散歩の意味は、旅そのものではなくて、「旅仲間と喧嘩した時や一人の時間が欲しい時に距離を取るためのお手軽な方法」になっています。笑 
 私は今、人と出会うことによって自分の生活がその土地に根付いていくという体験をしています。その場合、ノマド的自分を楽しんでいた時とは景色がまるで違うのです。この店何時まで開いてるのかな、この家空き家かな、このコンビニ綺麗かな、などなど、自分自身がその景色の当事者となって、より具体的な観察をするようになるのです。こういうのもまた、楽しいものです。
 私と同じくらい散歩が好きな部長と出会えて、私はラッキーでした。自分とは違う視点から景色を見ている人とお散歩をするのは楽しいです。部長は昆虫が好きなので、すれ違う昆虫を見逃しません。感動を込めて「ゴキブリだよ!」と言ってくれるのです。私は昆虫に気づかないですし特にゴキブリには気づきたくもないのですが、部長ならではの視点と、その素直な感動が素直に表現されていることに私も感動するのです。

【筆者について】
副部長(ふくぶちょう)
関西出身・関東在住・会社員
好きなものごとは散歩、酸味、ジャズ、野球観戦、部長観察

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