はじめに
木内翔太です。前回の記事から時間が経ちましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、博士課程2年目(2025年4月〜2026年3月)の1年間を振り返っていこうと思います。
一言で言うと、この1年は「ひたすら行動の年」でした。
博士課程1年目のときは、新しい環境での研究や学びに適応することに必死でしたが、2年目は自分の足で立ち、外の世界へ積極的に飛び出していった1年となりました。キラキラしている部分も、泥臭くもがいた部分も含めて、記録に残しておこうと思います。
1. 研究:現場でのデータ収集と「数字の意味」への気づき
博士課程1年目の後半からずっと練っていた研究計画がようやく形になり、ついにデータ収集を開始することができました。これは私にとって大きな進捗でした。
しかし、実際に現場で動いてみると、「計画通りにいかないこと」や「足りていない部分」が次々と見えてきました。急遽、倫理審査の変更申請を行ったり、現場の方々と調整を行ったりと、走りながら修正を重ねる日々でした。
この経験を通じて痛感したのは、「データがどう生まれるのか」「その数字にはどのような意味(背景)があるのか」を肌感覚で理解することの重要性です。これは私が取り組んでいる一次研究(自分でデータを取る研究)だけでなく、既存のデータベースを用いる二次研究においても同様に重要な視点だと気付かされました。
また、何よりも「現場の方々の理解と協力」がなければ研究は成り立たないということを、身をもって学びました。
2. Kindle本を出版した
集大成…というわけではないのですが、これまでのブログ記事や経験をまとめた『薬剤師の公衆衛生大学院体験記』をKindleで出版させていただきました。
自分で本を出すという経験は、単なる思い出作り以上の意味がありました。「どうやって自分の価値を世の中に届け、お金を稼げば、自分がやりたい事業を継続できるのだろうか?」という問いと向き合うきっかけにもなりました。
3. PEP for Non-Profit Startup Accelerator Program一期生として参加した
「起業」への関心が高まる中、PEP(Program for Evolving Philanthropy)for non-profit startup という、非営利スタートアップ向けの起業プログラムに一期生として参加しました。毎週木曜日に六本木へ通い、すでに起業して活躍されている同期の方々に必死についていく日々でした。
このプログラムで徹底的に問われたのは、「How(どうやるか)」ではなく「Vision(何をしたいか、どういう社会的役割を果たしたいか)」でした。
期間中に具体的な事業がバシッと決まったわけではありません。やりたいことはまだ抽象度が高く、形にするには時間がかかりそうでした。
しかし、最大の成果は「マインドセットの変化」でした。「起業しよう」「自分の手で社会に価値を届けよう」と本気で思えるようになったこと。これこそが、このプログラムで得た一番の財産です。
4. H3アカデミーの一期生として参加した
H3(Health Healthcare Hackathon Hub:ヘルスケア・ハッカソン・ハブ)という非営利組織のアカデミー一期生としても参加しました。
PEPでの学びと並行して、「起業」や「社長」という生き方への解像度をさらに上げるため、あるヘルスケアベンチャーの社長に1週間密着する「カバン持ち企画」に参加させていただきました。
社長が普段何を見て、何を考え、どう意思決定しているのか。そのリアルを間近で(タダで!)見せていただけたのは、本当に貴重な経験でした。
「社長業」というものの解像度がグッと上がり、「自分も社長になりたい」という思いが強くなりました。ありがたいことに、その後インターンとして社長直下のプロジェクトにも関わらせていただき、ベンチャーのスピード感を肌で感じる日々を送っています。
ここでの出会いや学びもまた、私のマインドセットを大きく変えるきっかけとなりました。無償で協力してくれる仲間たちの存在に、心から感謝する場面が増えました。
なお、現在はH3 Podcastにて、パーソナリティを務めさせていただいています(お声掛けいただきありがとうございます)。
5. 医療政策特化メディア「医療政策ウォッチャー」を立ち上げた
「難解な医療政策を、もっと身近に。もっと手軽に。」をキャッチコピーに、医療政策に特化したメディアを10月末に立ち上げました。
ポッドキャストを中心に発信を続けていたところ、ありがたいことに多くの方に聴いていただき、ポッドキャストランキングにもランクインするようになりました。
自分の専門性や関心を、社会のニーズと接続できた一つの成功体験として、個人的には大きな自信になっています。
▼ご関心があればこちらから
https://note.com/ski_sph/n/nc3557f4b055f
6. 研究プロジェクトの完遂と自信
研究所でジョインしていた2年半の予算のプロジェクトを、最初から最後まで参加することができました。また、自分で始めたプロジェクトも現在クロージングに向かっています。
「研究」という不確実性の高い営みの中で、一つのプロジェクトをやり切った経験は、大きな自信になりました。博士課程の折り返し地点で、研究者としての基礎体力も少しずつついてきたのかな、と感じています(とはいえまだまだまだまだですが)。
7. キャリアのピボットと「出島」構想
博士課程修了後の進路について、以前は「薬学部の教員になり、パブリックヘルスを薬学部に持ち帰る」ことを目指していました。しかし、臨床経験の不足や専門薬剤師資格の有無など、自分の現状とアカデミアの要件とのギャップに悩み、自己否定に陥ることも(多々)ありました。
そこで、思い切って方向転換(ピボット)することにしました。
「薬学にパブリックヘルスを持ち帰る」一辺倒ではなく、「パブリックヘルスに薬学を持ち込む」のはどうか。外の世界に飛び出し、薬学の知見を広げていくことも、自分にできることなのではないかと考えるようになっています(まだ模索中なのでピボットと言えるほどのものではないのですが)。
また、私と同じようにSPH(公衆衛生大学院)に進学した薬剤師が抱える「孤独感」や「閉塞感」にも目を向けるようになりました。彼らが疲れた時に休みに来られる場所、そしてまた元気に飛び立っていけるような「出島」を作りたい。そんな居場所づくり(法人化も含めて)が、今の私の新たな目標になっています。
おわりに
博士課程2年目は、精神的な「闇期」を抜け出し、自分の進みたい方向がうっすらと見えてきた1年でした。
とはいえ、経済的には相変わらず「貧困層」であり、「借金まみれ(奨学金的な意味で)」であることに変わりはありません(笑)。
残り2年で博士課程を確実に卒業すること。そして、「出島」を形にして法人化し、経済的にも自立すること。
これらを目標に、3年目もひたすら行動し続けていこうと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。またお会いしましょう〜!

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