Vol.4 薬剤師の新しいキャリアデザインについて考えてみた(MPHについても)

薬剤師の公衆衛生大学院体験記

薬剤師で東大SPHに在学している木内翔太です。
数ある記事の中から選んでくださりありがとうございます。

はじめに
今回はMPHの過程にいる中で感じた薬剤師の新しいキャリアデザイン(あるいは可能性)について考察してみました。
まだまだメジャーとは言えない(≒新規性が高い)キャリアについて考えてみました。万人受けはしないかもしれませんが、誰かにとって少しでもお役に立てれば幸いです。

1.臨床現場の知見を持ちながら薬剤疫学の領域で活躍する
臨床経験のある薬剤師の知見は薬剤疫学領域でとても大きいです。病気について理解できる基礎知識があります。大体の病気について(薬物療法が存在する病気に限るかもしれませんが)、おおよそ調べれば全容を把握できることがほとんどだと思います。
さらに薬剤の知識が豊富です。どの薬剤のメリット・デメリットや臨床現場での使用実態の感覚など、薬剤の広範な知識を備えていることが多いです。
このようなバックグラウンドを用いて薬剤疫学の領域で活躍ができるように感じています。

例:ある疾患の治療薬について、A剤とB剤では有害事象の発現頻度について臨床研究を行う

臨床現場で目の前の患者さんに使う薬剤の見え方だけではない世界が広がっています。近年薬学部に「薬剤疫学」を標榜する研究室が設置されるなど、今後は薬剤師が活躍することがメジャーになる領域なのかもしれません。

2.臨床現場の知見を持ちながらマーケティングの領域で活躍する
薬剤師の臨床現場の知見はマーケティングの世界でも活用できるように感じています。臨床現場では患者さんや医師・看護師をはじめとする他職種(≒異なるバックグラウンドを持つ人々)と協働する必要に迫られることが多いです。こういった中では「相手のニーズを把握し、かつ自分の専門分野(あるいは解決方法)についてわかりやすく説明する」ということが求められ、必然的に能力を獲得していることが多いです。
このようなバックグラウンドを用いて、マーケティングの領域で活躍できるように考えます。

例:患者のニーズを把握し、製薬企業で新しい剤形の薬を開発するマーケティング事業に携わる

臨床現場の「世の中にあるものを目の前の患者に届けて解決する」、という役割から「今はないものを作り出して解決する」という別の役割でも活躍できるように思います。

3.臨床現場の知見を持ちながら、マーケットリサーチの領域で活躍する
薬剤師の臨床現場の知見は、マーケットリサーチの領域でも有用なように感じます。臨床現場の薬剤師は日ごろから情報収集(医薬品情報など)を求められることが多く、得意である人が多い印象です。DI(Drug Information)に携わっていらっしゃった薬剤師の方は特に上手かと思います(私は専任で携わったことはありません)。
このようなバックグラウンドを用いて、マーケットリサーチの領域で活躍できると考えています。

例:ある疾患領域の医薬品に対するマーケットリサーチ事業に携わる

「情報を収集して他の人の役に立つように渡す」、ということは臨床現場に限定されず力を発揮します。薬剤師の情報収集能力は他の領域でも活かせるのではないかと考えています。

おわりに
上記の内容は私が臨床現場で働いた後にMPH課程に入学して考えたものです。貴重な縁をいただき、少しずつ経験させていただきました。臨床薬剤師のキャリアデザインが臨床現場がほとんどで、それ以外の選択肢が見つけにくく、閉塞感のようなものが存在しているのは少し残念です。
臨床現場の薬剤師の知見はとても大きく、他業種においても活躍できるポテンシャルを持っていると私は思います。

とはいえやはりMPH課程に入学しなければ私自身もこのような考えにはなりませんでした。
ですので、薬剤師の新しいキャリアデザインの一つとして「MPH課程に進学する」という選択肢があるのではないかな?とそっと誰かの背中を押してみます。

薬剤師とMPHの記事を探していたときに見つけた論文を紹介します。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpstj/70/3/70_175/_pdf/-char/ja
※以下論文より抜粋
MPH(Master of Public Health)やMBA(Master of Business Administration)などのDual Degree取得は,公衆衛生に寄与する薬剤師,薬局や病院経営に寄与する薬剤師が取得すると役立つ学位ではないかと思います.

この論文はもう13年も前に出されていて時代の先取り感がすごいな、と思うと同時に、私も社会に役立つ人材にならねば、と背筋が伸びる所存です。
引き続き誰かの役に立つような記事を発信できたらと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
ご質問などございましたらX経由でご連絡いただけますと幸いです。

記事を書いたのは…

木内 翔太(きうちしょうた)

薬剤師、公衆衛生学修士(専門職)。
都内私立大学薬学部(6年制)を卒業後、都内大学病院勤務。その後退職し東大SPHへ進学、卒業。大学院進学と同時に都内薬局でも勤務。現在はフリーランスの自由人。

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