私は現在30歳である。今回ご紹介するのは「20代にしておきたい17のこと」という本である。
この本との出会いは私が22歳、大学4年生の時であった。私は6年制の薬学部に在籍していたため、まだ大学生活の折り返しに辟易していた時期であった。高校時代の友人は就職活動をしていたし、社会に置いていかれている感覚になっていた。このなんとも言えない焦燥感も、いまでは若者の特権であるように思えるが、当時はそれなりに悩んでいた。そんな時に地元の本屋で出会ったのがこの本である。
正直、出会って一読目はそれほどピンと来ていなかった。たまに読み返す程度で、積極的に実践しようというほどでもなかった。たしか卒業して社会人1年目にふと思い出して読み返した記憶がある。少しわかるところも増えてきた。それからは存在を忘れていた。

私の人生のターニングポイントは27歳の大学院進学であることは間違いない。急激に環境が変化したのに伴って、人生観も大きく変わった。正社員という安定を捨て、実家を出て一人暮らしを始め、今までに出会ったことがないような人たちと本音の議論を重ねた。毎日がおかしくなるほど濃密で、危険で、再現性がない日々であった。
先日、ふと思い出してこの本を開いてみた。私が20代で経験したことの振り返りをしたかったのかもしれない。この本ではタイトル通り17のしておきたいことが書かれている。全部紹介するのも無粋なので、ここでは詳細には触れない。
ちなみに私は17のうち2項目は達成しなかった。裏を返せば15は達成しているということになる。でも達成したのは20代のうちの27歳からの濃密な3年間であったような気はしている。
まあ、達成したから偉いというわけではない。振り返ってなんとなく達成感はあるのだけど、タスクリストとして使うようなものではない。20代でも若いうちに(例えば20歳とか21歳とか)にさらっと読んで、こういう考えもあるのか、ふーん、というくらいがいいと思う。ここに書かれているようなことを達成しようとすると、濃厚な日々を過ごして、この本のことは忘れてしまうと思う。

ただ、私は今の私が好きである。その好きな要素の結構な部分は、この本に書かれている経験を通じて形成されているかもな、と感じている。読むとしたら20歳前後の方にオススメである。ふーん、と流しながら読むのがオススメである。
なお、このシリーズは30代、40代とあり、私は今度30代を買おうと思う。また読んだあとにふーん、と思って、また忘れて、40歳の時にふと振り返る。そういう使い方をしようと思っている。もしよければ手にとってみてください。
20代にしておきたい17のこと (だいわ文庫)
本田健 (著)
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記事を書いたのは…

部長(ぶちょう)

職業:フリーランスの自由人。東大院生をしてたり、大学以外で研究してたり。たまに薬剤師してたりもします。
ひとこと
はじめまして。てくてく放送部の部長です。最後までお読みくださりありがとうございます。
忙しい日常の中で「あなたのほっと一息」にご一緒できたらとても嬉しいです。
末永くお付き合いください。
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